新着情報
訪問診療【その10】
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【訪問診療】(その10)
患者さまは, 在宅診療をされている内科の先生からご紹介いただいた80歳代の男性です。
初診時の口の中の状態は, 歯が欠けたり歯根が残ったままの状態で細菌感染していました。また赤く腫れた病的な歯周ポケットが拡がっており, 骨レベルは低下し揺れている歯もありました。血圧の変動もありうるので, 高等看護師による血圧測定を施してから歯科診療に入ります(写真1)。
歯周病の治療と同時進行でむし歯の処置もおこない(写真2)、症状もだいぶ落ち着いてきたので上下顎に部分義歯をお入れすることになりました。ワイヤー等を曲げた「バネ付きの義歯」だと種々口内への負担が生じやすいので, 今回は取り外しができて歯に対してもやさしい「バネなしの義歯」をお作りしました(写真3の右側)。
義歯が装着されて半年以上経ちましたが, とても上手に使いこなされております。紳士的に接していただける患者さまは長年教鞭をとられていた方であり, またいつも楽しいお話を聞かせていただける奥さまのサポートにも感謝申しあげます。(2012年7月) |
歯周病により失った骨が再生されます New
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【歯周病により失った骨が再生されます】
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大阪大学の村上教授と科研製薬は、歯槽(しそう)膿漏や歯肉炎などの歯周病で失われた骨を再生する治療法を開発しました。その方法は骨の成分を増やす特殊なたんぱく質を患部に投与するだけで、重症になる前日に治療すれば抜歯せずにすむとのことです。今年度中に最終的な臨床試験を開始する予定で、2015年以降の実用化を目指しています。あと3年もすればこの特殊なたんぱく質を塗るだけで歯周病が治るというならば、とても画期的なことですね。
歯周病は口内の細菌感染で発症し、炎症が起きて歯を支えているアゴの骨が破壊される怖い病気です。一旦悪化すると回復が難しく歯が抜けてしまいます。さらに重い歯周病に罹患している人は、敗血症・感染性心内膜炎・動脈硬化・糖尿病などを悪化させるリスクが高まります。
このような危険因子を取り除くため、骨の再生を促すたんぱく質「FGFー2」の製剤を手術の際に患部に塗布します。ビーグル犬の実験などでその有効性を確認し、人の口内で治験し投与から9ヵ月後にアゴの骨量が約60%増えたそうで、今のところ重大な副作用もないとのことです。
この方法が確立されれば広く一般の歯科外来で治療ができ、また通院できぬ在宅の患者さまにも訪問診療での応用が可能となります。歯肉炎に罹患している人も含めれば成人の約8割が歯周疾患という現状を考えると、早期の実用化が期待されますね。(2012年7月)
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ロンドンオリンピックの開幕です
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4年に1度のスポーツの大祭典「オリンピック」が開催されています。日本代表選手(男子137名・女子156名)と役員を含めると、総勢約520名がロンドンに集結しています。上村春樹団長いわく「金メダル獲得数で世界第5位を目標としており、そのためには15~18個を獲る必要があります。ポイントは前半の体操・水泳・柔道にかかっています」とのことです。オリンピックという重圧のかかる大舞台、本当に何が起こるのか分かりません。メダルにこだわらずに、いつも通りのプレーをされて悔いのない戦いをすれば結果はついてくると信じて、気負わずに挑戦者の気持ちで力を出し切ってほしいものです。
私が観たすべてのオリンピックで一番の感激シーンは2004年(アテネ)のこのシーンであります。ここまで感動させた美しい演技と「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ
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293名の代表選手がんばれ~ニッポン (2012年7月)
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風疹が流行しています
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【風疹が流行しています】
風疹の流行が拡大しています。関西を中心に流行の兆しを見せていましたが首都圏まで広がり、全国の患者数は全数調査が始まった平成20年以降で過去最多を記録をしています。
今回の特徴は罹患者全体の約8割が男性で、20~40歳代が目立ちます。かつて風疹の予防接種は女子に限定されており、この世代の男性は定期接種の機会がなかったり接種機会が低かったりして、免疫がないひとが多いとのことです。風疹の初期症状は「せき」や「くしゃみ」がでて風邪のようです。その後、2~3週間すると、発熱・発疹・リンパ節の腫れなどの症状がでて次第に治まってきます。成人では1週間ほど高い熱が続くこともあります。子供の時にかかりやすく、赤い発疹がでて「はしか」の症状に似ていますが「はしか」ほど重症にはならないため「三日はしか」ともいわれます。(但し「はしか」とは違うウィルスが原因で、風疹は別の病気です)
この風疹には特効薬はなく、症状を抑えるための治療が中心になるとのことです。妊娠中、特に妊娠初期に風疹に感染すると、生まれてくる赤ちゃんに心臓の疾患や難聴や白内障、口内ではマイナスドライバーのような歯になり、口唇口蓋裂も生じやすくなります。これからお盆休みに入り、人の移動も増える時期なので、さらに感染が拡大することが心配されます。
風疹ウィルスは「せき」や「くしゃみ」等で感染が広がる「飛まつ感染」をするので、外出後の手洗いやうがいの徹底、暑さが続きますがマスクの着用等の対策が必要ですね。みなさん、何とかこの夏場を健やかに乗り切りましょう。(2012年7月)
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訪問診療【その8】
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【訪問診療】(その8)
今回は、ケアマネージャーさんにご紹介いただいた85歳の患者さまです。ご高齢で腰椎圧迫骨折などに伴い足腰が弱くなり、継続した歯科外来受診ができないために週1回在宅で診療をおこなっています。上顎前歯部が歯周病に起因し歯の揺れがかなり大きくなっており、何かの弾みで折れて飲み込む危険性がありました。 麻酔の前には高等看護師による血圧測定(写真1)をおこない、その後段階的に抜歯を施しました。粘膜面がきれいに修復されたので口の中の型採りをし、現在上下義歯をお作りしています。また細菌感染で傷んだ歯の治療後、クラウンの装着(写真2の右半分・※現場で慌てて撮ったため不鮮明で申し訳ございませんが、画面の左下奥歯も被せる予定です)をおこなったり、歯周病に罹患している歯の保存療法も同時に施しています(写真3)。 患者さまご自身のみではまだ散策できないため「食事がおいしく摂れるようになりました」という元気なお言葉を少しでも早く拝聴できるよう、総力をあげて診療しています。もうじき義歯が入りますので、がんばってくださいね。 いつも明るくサポートいただける娘さんにも深謝申しあげます。(2012年6月) |