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訪問診療【その17・抜歯編】 

訪問診療】(その17) 
本日は当院ホームページ経由でご家族さまから直接ご依頼いただいた東京・N区在住92歳の女性【要介護4】の訪問診療の様子をご紹介します。
 医師に認知症と診断され, かつご高齢で全身の筋力低下に伴い歩行困難なので, 居宅での診療となりました。口内は歯周病やむし歯に罹患しており,欠損歯牙に対し急ぎ義歯をお作りしないといけない状況でした。特に歯周病により右下奥歯(第一大臼歯)の骨レベルが低下, グラつきが大きく何かのはずみで歯が折れ 誤って飲み込む危険性が大きくなったので,ご家族さまと合議し本日抜歯しました。
外科的小手術を行う為, 血圧変動もありうるので先ず高等看護師による血圧測定を行います写真1。特に問題なく脈拍も安定していたので, 針刺しに伴う痛みを少しでも軽減するため最初に粘膜への表面麻酔を行い, そして浸潤麻酔もゆっくり注入しました写真2麻酔の効き具合を確認後, 厚さ0.25mm位の歯周じん帯を切断, 歯牙を骨から慎重に脱臼写真3の左させ抜歯を施し抜歯窩【参考/最後の写真】に抗生剤などを入れて縫合しました。          
この日の午前中, 当院外来で通常の診療を行い抜歯の症例もこなしたため, 本件ベッドサイドでも同じような手指の感触で歯根の先端を破折することなく無事終えたので,ホッとしました写真3の右
外来診療と在宅診療,医療を行う環境はかなり異なりますが, 口内でお困りの患者さまが少しでも喜んでいただき食事がしっかり摂れますよう,今後も総力をあげサポートしていきたいと思います。(2013年11月)

新旧往診車のおしらせ&世田谷ナンバー 

新旧往診車のおしらせ
 訪問診療で長年使い苦楽を共にしてきた当院の往診車が換わりました。
  旧往診車(ラウム)写真1は平成10年登録で仕事等でほぼ毎日使っていましたが、法的な車検を通っても故障が多く、その後のメンテナンスも追い付かず、人間でいえばご高齢で不整脈等のオンパレードを伴い、とても危険な状態でした。
  新往診車は、以前と同じコンパクトで機能的にも使いやすいトヨタ車のポルテ写真2と3を納車しました。運転席サイドは2ドアーですが、助手席サイドは自動のスライド1ドアーなのでオープンスペースも取れやすく、ご高齢者をお乗せする際はとても便利ですね。  今後はこの新しい車で, 皆さまのご自宅や施設まで訪問診療にお伺いしたいと思いますので, よろしくお願いします。
 【世田谷ナンバー】  
 8月2日、国土交通省は、「ご当地ナンバー」制度について、新たに「杉並」「前橋」「平泉」「郡山」等の導入を決定しました。この制度導入により、これまで「会津」「つくば」「金沢」「伊豆」「富士山」「倉敷」等が誕生しています。しかし「世田谷」に関しては一部地元住民が反対を唱え、国交省を相手に導入をやめるよう係争となりましたが先日棄却され、「世田谷ナンバー」が正式に決まりました。地域振興や観光振興のためにも、私が生まれ育てられた街・世田谷がさらに活性化してもらいたいと思います。 (2013年11月)

訪問診療【その16】 

訪問診療】(その16)
本日は地元口コミ経由でご子息さまからご依頼をいただいた83歳男性【要介護5】の訪問診療の様子をご紹介します。
入浴中に転倒してしまい背中から臀部(でんぶ)にかけて広範囲な熱傷を負い, かつご高齢で足腰がとても弱く大腿骨骨折の既往もあるため, ご自宅で治療いただいております。
緊張されての受診のためか血圧の変動も多々あるので, 診療開始時に高等看護師による血圧測定を行います写真1
療養生活が長いため, 口内は多数のむし歯と歯周病に罹患していました。当初はお伺いするたびに, むし歯の修復処置や歯周病により侵襲した歯肉の治療に閉口しました写真2が徐々に良くなりました。
不適合な上下入れ歯を新しく作りなおすため, 顎の型取りを行い写真3・左仮り歯写真3・右上の2枚顎の高さなども確認しました。そして出来上がった保険義歯写真3・右下の2枚のとおりです。 
受診いただく前までは上顎の歯がかなり欠けてしまいましたが, 吸い付きのよい義歯が入ったことにより, 唾液の分泌もよくなり固い食べ物もおいしく摂れるようになりました。また患者さまの顔つきもふっくらとしてきており、改めて噛む力の大切さを学ばせていただけました。継続的な在宅・訪問診療は外来以上に種々困難を伴いますが,今後も少しでもお力添えしていきたいと思います。(2013年9月)

訪問診療【その15・抜歯編】 

訪問診療】(その15)
今回は神経内科ご専門の先生からご紹介いただいた90歳の女性です。ご高齢に伴い内科的にも色々な疾患をお持ちで,足腰が弱く継続的な歯科外来受診ができない為, ご自宅で治療いただいております。
バネが突び出た不適合な上下義歯をなおし, 取り急ぎ噛めるようにしながら同時進行で新しい義歯をお作りしました。
 歯根が骨の中にしっかり植立している歯は, 残根(ざんこん)のまま維持し口腔ケア等で衛生状態をコントロールしましたが, 経年的に歯周疾患等に起因して徐々に骨レベルが低下し, グラグラ揺れる歯が生じました。病的な歯周ポケットも深く, 膿み状の分泌物も出て保存不可能となったので, 本日左上小臼歯を抜歯することにしました。
内科的に抜歯の禁忌(きんき)症がないケースなので, まず高等看護師により病棟でも使われている「アネロイド型血圧計」を用いて, 麻酔直前の血圧を正確に測ります写真1正常範囲内であったので次に麻酔の処置に入ります。いきなり針を刺すと痛みが強いので, まずは粘膜にゼリー状のもので麻酔をし,歯肉表面が痛みに対して鈍感状態になったことを確認してから, 浸潤麻酔を施しました 写真2
設備の整った外来診療とは異なる環境の下, ベッドは介護用ではないので倒せず急ぎ枕の上にバスタオルを巻きつけ頭の位置を微調整するなど汗だくになりながら, 慎重に歯を縦に分割し写真3歯根の尖端を破折することなく抜歯しました写真4
抜歯後の消毒を行いましたが, 麻酔が覚めた後も特に痛みはなく, 消炎鎮痛剤も抜歯当日だけ服用されたとの事でした。
現在の抜歯窩は粘膜できれいに修復されており, 入れ歯の吸着もよく食事がしっかり摂れるようになりました。何よりも患者さまがとても喜んでおられ, その笑顔に在宅医療の醍醐味が瞬間的に感じられました。
「生きる力」は「食べる力」であり「食べること」は「生きる喜び」にもつながりますので, 今後も皆さまのお役に立てますよう, 当院スタッフ一同がんばりたいと思います。(2013年7月) 

口腔外科・学術講習会 

口腔外科・学術講習会】
先日, 日本歯科大学附属病院における医療連携学術講習会に出席しました。
テーマは口腔外科は地域医療のパートナー~役割分担で安心・安全な医療を~」等々, 准教授S先生による分かりやすい講演でした 写真1
私が本学在学中, S先生とは学籍番号が前後しており, 特に附属病院での1年間の臨床実習(登院)時には同じブロックでしたので, 瞬時楽しい思い出がたくさん蘇りました。努力家で人格的にもすばらしい出世頭のS先生の今後のご活躍を祈念します。
さて本学口腔外科は, 患者さまの約80%は紹介された方の治療に当たっているとのことなので「誰かいないかなぁ」と考えていたところ, 当院外来の60歳代女性の患者さま写真2が治療中であったので、早速S先生にご高診をお願いしました。
ご紹介した患者さまは, 何軒かの医院を受診され 平成25年2月頃から当院で継続的な治療を受けられており, 初診時に比べると口内の症状はだいぶ回復しました。
本件, ほほの粘膜に「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」【写真3】の疑いがあり, 大学病院での治療となると「白板症(はくばんしょう)」等との鑑別を図るため, 病理組織検査(生検)が必要になるかもしれません。
後日の診断報告書に対応し, 当院でもしっかり治療していきたいと思います。(2013年7月)

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