新着情報
訪問診療【その7】
訪問診療【その6】
|
【訪問診療】(その6)
今回は、ケアマネージャーさんにご紹介いただいた87歳の患者さまです。若いころ肺結核を繰り返し、そして関節リウマチや脳梗塞にも罹患し、その後遺症等により継続的な歯科外来受診が不可能となったので、週1回在宅で診療を行っています。歯周病で歯の揺れが大きくなり、【訪問診療】(その5)の患者さま同様、麻酔後抜歯を行い、他の部位の残根歯の処置も施しました。右上犬歯の揺れは繰り返しの処置でおさまり、新しい義歯のバネを掛けても残された最後の1本の歯は、今でも元気な状態をしっかり保っています。体調不良により、義歯や口内の管理がおろそかになったためか、写真左下部分のように下顎義歯の舌側に歯石がつき、舌ざわりにも支障をきたしていました。これは「デンチャープラーク」といわれるもので、即日取り除きザラザラした不快感もきれいになくなったので、毎日食事がおいしく摂れるようになりました。 「口は健康の入り口、歯は消化器系の入り口」ですので、皆さんあきらめずにがんばりましょう。(2011年12月)
|
訪問診療【その5】
|
【訪問診療】(その5)
ケアマネージャー(介護支援専門員)さんが3つの歯科医院をご紹介し、ご家族と相談のうえ当院で診療させていただくことになった86歳の患者さまです。脳梗塞後遺症で右半身麻痺が残り外来受診が不可能なので、週1回在宅で診療を行っています。歯周病で歯が抜けてしまい、バネが突び出た不適合な義歯を長年無理して使ったためか、下顎の歯はボロボロでした。特に左下犬歯の揺れが大きく、誤って飲み込む危険性が高かったので麻酔後抜歯を行い、他の部位の残根歯の処置も施しました。写真の右部分は、口の中の型採りを行い上下総義歯をお作りした画像です。患者さまのご要望も可能な限りとり入れた上顎総義歯は、粘膜との吸着もとてもよいものが出来あがり、かみ合わせを調整し今ではかたいものも普通においしく食べられるようになりました。明るく元気な奥さまのサポートにも,深く感謝申しあげます。本当によかったですね
|
訪問診療【その3】
むし歯菌で脳出血を誘発、発症リスク約4倍!
|
口の中でむし歯の原因となる「ミュータンス菌」の一種が脳出血のリスクを約4倍に高めることを大阪大や浜松医科大等のチームがつきとめ、9月27日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に掲載されました。脳出血の新たな危険因子とみられ予防薬開発を進めることで、脳出血の発症リスクを抑えることができるとしています。
むし歯菌のうち、抜歯や歯磨きなどを介し血液中に入った高病原性菌が心臓弁膜等の炎症をひきおこす「細菌性心内膜炎」の発症原因の一つであることはこれまで分かっていましたが、脳出血とむし歯菌との関係は不明でした。
成人の70%以上は何らかのむし歯菌を持ちますが、チームは「コラーゲン結合タンパク質」を持っている特殊なミュータンス菌に着目。うち約8%がこの特定菌の保有者であって、特に脳出血の患者では約30%保有しており発症リスクは約4倍になります。また菌は母親から子に移るので、口移しなどで母子感染する可能性もあるとのことです。
実験では特殊な光で血管を傷つけたマウスに、患者の唾液から採取した菌液を直接血管内に投与すると、投与しないマウスと比べ脳出血の面積が5~6倍に拡大。高血圧のラットでは約7倍広がり、血管の傷に菌の「コラーゲン結合タンパク質」が集まり、血管の修復を妨げ出血が増えました。こうした結果から梅村教授は「この菌の保有者は非保有者と比べて脳出血リスクが高い可能性があり、健康な人が保菌していても問題はないが、高血圧やストレス、老化、喫煙などで血管が弱ると脳出血を起こしやすくなるので、口腔内ケアで衛生的に保てば脳出血患者の再発予防や発症リスクを低下させることも考えられる」と話しています。
歯肉炎・歯周炎で出血し傷ついた歯ぐきの血管から、このような特殊な菌が血中に入り込む可能性が十分あります。歯ぐきのマッサージも含め口腔ケアが重要視されたトピックスでもありますので、みなさん口内健康維持のためにも早期の受診をお奨めいたします。(2011年9月)
(※右が「コラーゲン結合タンパク」を持つむし歯菌を投与し脳出血を発症させたマウスの脳。左は無投与)
|













