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しっかりと噛みましょう 

  本日は、口のアンチエイジング関連について記させていただきます。当院では外来診療同様、在宅・施設などにおいても積極的に診療を行っておりますが、今の人は昔の人と比べて、口の中の様々な機能が衰えてきているように感じられます。かつて「噛めば噛むほど味が出る」という食事が多かったものですが、現代の人はよく噛まずにのみ込める麺類などのやわらかい料理を好んで食べる傾向があり、それに起因し噛む力が昔より衰えてきております。噛むことは単に食べるものを細かくするだけではなく、だ液の分泌を促進したり、口のまわりの筋肉(口輪筋)を鍛えたりする働きがあります。口の機能が衰えると口の中だけではなく、体のさまざまな部分に悪影響が生じます。例えば、口のまわりには細かい筋肉がたくさんありますが、口を動かさないとそれらの筋力が低下し、その上にある皮フと共に下垂してきます。その結果、ほうれい線や顎のたるみが目立つようになり、顔の老化にもつながります。また、だ液の分泌量が減り「ドライマウス」にもなりやすくなります。「ドライマウス」は薬の副作用や病気などでおこることもありますが、つばを出す唾液腺の機能が低下することでもおこります。食べものが嚥下(のみ込み動画あり)しにくくなるほか、話しにくい、口がネバつく、口臭、舌の痛み(舌痛症)といった症状が出ます。また、抗菌作用を持つだ液が減ることで、口内に雑菌が繁殖しやすくなります。むし歯や歯周病にかかりやすくなるだけではなく、こうした雑菌が肺に入ると「誤嚥性肺炎」を引き起こすこともありますし、だ液中の酵素による発ガン物質の作用を抑える働きも弱くなります。タイトルのとおり、しっかりと噛むことにより脳の満腹中枢が働いて食べ過ぎの予防・味覚の発達・胃腸の働きの促進・口輪筋の刺激・発音障害の改善などの効用があげられます。つまり口の健康を守ることによって全身の健康や老化を防ぐことにもつながりますので、みなさんお口の中の管理・維持・安定には細心の注意を払って健やかな毎日を過ごしましょう。

歯に注意、かみ合わせが悪いと「アルツハイマー」に影響

歯に注意、かみ合わせが悪いと「アルツハイマー」に影響! かみ合わせが悪いと、アルツハイマー病(※1)の原因とされる「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれるタンパク質が、脳の海馬(※2かいば)に増えることを岡山大学大学院の森田学教授のチームがラットで突き止め、9月15日発表しました。
 アルツハイマー病はアミロイドβが脳内に蓄積し、海馬では神経細胞に影響して記憶障害をおこすのが一因とされています。チームは「歯が抜けたり、いれ歯が合わなかったりする人は、治療をすることでアルツハイマー病の予防や進行を抑えられる可能性がある」としています。実験では、上顎の奥歯を削ってかみ合わせを悪くしたラットは8週間後、血中のストレスホルモンが増えたことにより、歯を削っていないラットに比べ、アミロイドβが4~5倍多く蓄積しました。また、削った奥歯を治療してかみ合わせを治したラットは4週間後、ストレスホルモンとアミロイドβがほとんど増えず、歯を削っていないラットとほぼ同じ数値にとどまりました。同チームは「かみ合わせが悪いと脳に刺激が伝わりにくくなり、ストレスを感じてアミロイドβが増えるのではないか」と分析しています。
 
  ご高齢者(特に在宅診療を受けられている方)は、歯の欠損等でかみ合わせが悪くなっている人が多々見受けられます。たとえば口内の被せものが多い人の場合、本人の噛んでいる感覚が薄くなり、かみ合わせの悪い場所に負担がかかりやすくなります。その後それを避けて繰り返し噛むことにより、どんどんずれてしまうことがあります。         またかみ合わせの力が弱いと、顎関節症にも罹患しやすくなります。上下の歯がきちんと対合し、しっかりと食べものを噛み砕くことにより、唾液の分泌量や解毒作用等を促し、内臓での消化機能も助けられます。
 さらに唾液の浄化作用により、口から体内への菌の入り込み予防にもつながります。心身ともに健康な生活を送られるためにも、今後口内の健康維持は特に重要になってくると思われます。
 
(※1)アルツハイマー病・・・脳を構成している神経細胞が通常の老化よりも病的に減る
    (変性)ことにより、認知症(痴ほう⇒動画が見られます)になっていく病気。
(※2)海馬・・・大脳辺縁系の一部であり、脳の記憶や学習能力にかかわる大切な器官。
    虚血に対して非常に脆く、またアルツハイマー病における最初の病変部位としても
    知られています。

歯周病と喫煙との関係 

喫煙により歯周病の悪化につながります!
  喫煙者は、30年位前までは全国的に男性の約70%(女性は約15%)いましたが、健康増進法が施行されて以来、最近では約40%(同.約12%)にまで低下しています。歯周病が全身に及ぼす影響として、糖尿病・心臓血管疾患・呼吸器疾患・早産・低体重児・胃潰瘍などがあげられます。
 喫煙は、①煙の刺激により痰が絡みせきが出やすくなり、のどの粘膜にキズがつきます。②肺に煙が入ると動きが鈍くなり、気道内の異物除去などの肺本来の役割も鈍くなり、気道の刺激と感染の可能性が大きくなり気管支炎などが起きやすくなります。③血中に入ると血液は固まりやすくなり、心拍数の増加や血圧の一時的な上昇に伴い息切れも起こします。つまりタバコに含まれる有害物質であるニコチンの作用により、末梢神経が収縮(≒血流低下による血液循環の悪化)し、歯周病になりやすくまた治りにくく、例え完治しても再発しやすい状態となります。歯の表面につくヤニ(タール)はプラーク(歯垢)がつきやすく、歯周病のリスクは1日のニコチン摂取量が多い人ほど高くなります。また子どもにおいては、タバコの煙を2次的に吸込む副流煙によりむし歯が2倍になるというデータもあります。 
   つい先日、女性の喫煙者は男性喫煙者に比べ、狭心症や心筋梗塞など、心臓に血液を提供する冠動脈の流れが悪くなっておきる心疾患のリスクが25%高いとの調査結果を、米ミネソタ大などの研究チームが発表しました。大規模調査に参加した240万人を対象に、冠動脈性心臓病を発症したリスクと男女差が生じる原因を分析したところ、女性喫煙者の方がより深く煙を吸い込んだり、有害物質を吸収しやすかったりする可能性をチームの研究者があげています。
 全身においても歯周病においても、タバコは大きな危険因子でありますので、みなさん、がんばって禁煙しましょう。
 
(※厚生労働省は2011年8月30日、国内初の飲む禁煙補助薬「チャンピックス錠」(一般名・バレニクリン)を使用した人が、車の運転中に因果関係の否定ができない事態に陥り接触事故を起こしたとして、販売する大手製薬会社に対し、添付書の重大な副作用欄に「意識障害」を追加するよう指示したとのことです。60代男性が服用8日め、夕食後に飲んで約20分後、車の運転中に全身の震えを感じ意識を失ったそうです。この薬は脳内のニコチン受容体に作用し、喫煙の満足感を抑える効果があり、2010年10月タバコの増税で禁煙治療を受ける人が増え、一時供給不足になった新しいタイプのものです。服用には十分気をつけましょう)

【訪問診療】(その2)

【訪問診療】(その2)  
  写真の患者さまは、脳梗塞や慢性腎不全に起因し、週3回人工透析を受けているため、在宅にて歯科診療を行っています。初診時世田谷区内の総合病院で透析療法を受けられていましたが、左上奥歯が揺れだし誤って飲み込む可能性が高かったので、患者さまのお姉さまから当院ホームページ経由で訪問診療ご依頼のお電話をいただきました。歯科診療は特に問題なしとの主治医の見解でしたので、病棟のベットサイドで抜歯しました。その後ご退院され、ご自宅で義歯の新製や歯周病、むし歯の治療等も行いコントロールしております。継続的に治療をさせていただいた成果も一因であろうと思われますが、なによりも直接介護に当たるご家族(特にお姉さま)や患者さまが治していこうというモチベーションが高いので、口の中はとてもきれいになり食事もおいしく味わえるようになったそうです。
 痩せていた初診時と比べると、ふっくらと健康的になっているように見えます。やはり「口は健康の入り口、歯は消化器系の入り口」ですね。痛切に感じられました。(※写真をクリックされますと、PopUp(拡大)画像になります) (2011年8月)

歯周病と糖尿病との関係

【魚をたべる男性ほど糖尿病のリスクが低下】 
 糖尿病は歯周病を悪化させる因子のひとつであることは知られていましたが、同時に歯周病が糖尿病を悪化させる因子であることも解明されてきました。糖尿病と歯周病は関係の深い疾患であるといえます。 糖尿病がコントロールされていないと高血糖となり、これが様々な合併症の原因となります。そのひとつとして歯周病があげられます。プラーク(歯垢)に対する炎症反応において、細菌を貪食する多形核白血球の機能低下と、コラゲナーゼ(細菌が出す毒素のひとつでコラーゲン線維を溶解する)の機能亢進により、歯周病が悪化します。 
  糖尿病の予防のひとつとして、国立がん研究センターはこのほど「魚を多くたべる男性ほど、糖尿病の発症リスクが低下する」の研究結果をまとめました。特にアジやサンマなど脂の多い小・中型魚が効果的だということです。5年間の追跡調査によると、男性では摂取量が多いグループほど糖尿病の発症リスクが低下。最も多いグループでは、最も少ないグループと比べて約30%リスクが下がりました。さらに、魚介類別に分析したところ、小・中型魚(アジ・イワシメサンマ・サバ・ウナギなど)や脂の多い魚(サケ・マス・タイ、先の小・中型魚類など)でリスクが低下する傾向がありました。
  女性では同様の結果が得られなかったことについて、同センターの研究班は、「女性は体脂肪が多いため、(魚に貯蓄された)脂溶性の環境汚染物質を受けやすいのかもしれない」と推測しています。 左上に、「魚介類摂取と糖尿病発症のリスク」を掲載しましたので、ご参照いただければ幸いです。

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